「NIKE FREE(ナイキ フリー)」は足を自由に屈曲し、広げ、動くことを可能にする。従来のランニングモデルよりもより足の構造に近い足型(ラスト)を使った「2019 NIKE FREE RUNNING COLLECTION(2019 ナイキ フリー ランニング コレクション)」には、これまで以上に裸足のような感覚を提供する新しい要素が含まれている。
「NIKE FREE」は短めの距離のランニングを前提としているので、新しいミッドソールのフォームクッション材は固めで(より裸足のような感覚を実現するために2004年のオリジナルに近づけている)、フラットで地面に近く、接地を感じつつ足の自由な動きを実現。
ミッドソールの上下には切れ目を入れ、足裏を縮めたり伸ばすような動きの両方により対応する。分析データに基づき、深さを変えた切れ目を、足の自然な動きに合わせて入れており、動きの感覚を高め、より自然な足の動きを促す。
「NIKE FREE RN 5.0(ナイキ フリー RN 5.0)」は、2018年のモデルと比べると26%屈曲性が高まり、2mm足が地面に近づいており、「NIKE FREE RN FLYKNIT 3.0(ナイキ フリー RN フライニット 3.0)」は、1mm地面に足が近くなっている。
薄い伸縮性のメッシュにミニマルなレーシングシステムを採用した5.0と、シューレースのない「NIKE FLYKNIT(ナイキ フライニット)」に足を安定させるために素材を重ねた3.0の、それぞれミニマルなアッパーは、シューズの自然で第二の皮膚のような性質を強調するデザインになっている。
全体のデザインにもオリジナルシューズに隠された科学に対する誇りを示す表現が見られる。例えば、デザインの中には足の自然な形を表現したラインも見られる。また小さなスウッシュ ロゴは、このシューズが短めの距離でのランニングを前提としていることを表現している。
「2019 NIKE FREE RUNNING COLLECTION」は2019年4月4日(木)からNIKE.COMなどで発売。
2019 NIKE FREE RUNNING COLLECTION
発売日 : 2019年4月4日(木)
NIKE FREEとは
2001年「NIKE」のデザイナーたちは、スタンフォード大学のランナーたちが、学内トラックの内側の芝地の上を裸足でクールダウンしている様子を目にした。コーチが、足を健康にするために良いことだと考えていたから。
これが「NIKE」のデザイナーたちの好奇心を呼び起こし、その裏にある事実を突き止めることにした。1年以上、芝の上を裸足で運動を続ける足を追跡研究した結果分かったのは、大変驚くべきことだった。運動開始から間も無く、足の動きがより自然に、よく曲がるようになり、時間が経つにつれて足の柔軟性、バランスや筋力も高まるという効果が得られていった。
可能な限り裸足の足に近づけようと最初に作ったのは、薄くて軽いメッシュにシリコンの小片をつけた超ミニマルなブーティのような試作品。シューズというよりもトウシューズにも似ていた。
デザイナーたちは、スタンフォードのコーチもこれなら関心を持ってくれるだろうと思った。というのも、足で小枝を踏んだり、小石が芝地に残っていた場合にも選手の足を守ることができ、同時に足の自然な動きを損ねなかったから。
当初はこれを商品化するつもりはなかったが、大きな可能性を感じていた。そして、デザイナーたちは、試作品第一号を足の自然なストライドを促し、多くのランナーに履いてもらえるシューズへと進化させていった。このプロセスは、最新の科学を元にした試行錯誤の繰り返しだった。常に目標としたのは、足が望む動きを可能にする方法を見つけることだった。
当初のデザインの参考になったのは、蛇が体をねじる様子を模倣する、木片をつなげてできた蛇のおもちゃ。そこで、ランニングシューズのアウトソールをスライスして、ソールがより柔軟にダイナミックに動くかどうかを試した。さらに、デザイナーは、フォームの塊やアッパーの素材に切れ目を入れることを考えついた。特に、前足部に縦の切れ込みを入れてみると、アスリートの足の反応がその切れ目のパターンや深さによって変わることも学んだ。
フリーに関する5つの事実
1. 「NIKE」はニューハンプシャー州エクセターにあったスポーツ研究所で1989年に足の自然な動きや裸足のランニングに関する研究を始めた
2. 2000年代初頭に「NIKE FREE」開発を始めた頃、「NIKE」は業界に先駆けて裸足のランニングの研究を進めた
3. 最初のフリーシューズには、この技術の特長を説明する長いパンフレットがついており、万人向けのシューズではないという注意書きがあった
4. ナイキスポーツ研究所(NSRL)には、「FREE」と名乗るのにシューズが適しているのかを、運動学的見地から判断する5つの指標がある
5. 「NIKE FREE」の名前についている数字は、0(裸足)から10(標準的なランニングシューズ)の指標に基づいており、それぞれのシューズのクッショニングレベルを示している
最初に作られたフリー シューズ(メンズ・ウィメンズのランニングシューズ、メンズ・ウィメンズのトレーニングシューズで、全てがフリー 5.0 モデル)は、2004年秋シーズンに発売された。
2014年、新しい研究によって、足が動いている時には足圧はSの字を描くように、かかとからつま先に移動するパターンを描くことが分かり(しかも人によってSの形状が異なる)、デザイナーたちはこのシリーズのアウトソールデザインに大幅に手を入れた。星、円形、ドット、斜めの線やその他何百ものパターンを試したのち、たくさんの六角形を描く溝のパターンに落ち着いた。これが様々な角度でも屈曲性を発揮し、ランニングの動きに見られる足がねじれたり回転する動きにもよりよく対応することが分かったから。
また、「NSRL」の研究によって、足の体重移動に合わせて足は2方向、つまり縦(かかとからつま先)と横(アーチを横切る方向)に伸縮することが解明された。しかし、それまで「FREE」の切り込みは、かかとからつま先への屈曲のみに対応していた。
オーセチック構造の実験を始めた。これは、一つの方向に伸ばされた時に、その垂直方向にも伸びる性質を備えた構造のこと(つまり2方向に同時に伸びることになる)。
デザイナーたちはさまざまなオーセッチックパターンを試したのち、「FREE」がすでに採用していた六角形のパターンにも似ており、ある程度調整が可能な三つ星の形に落ち着いた。オーセチック構造で広がるミッドソールは、体や足に力がかかった時と似たような動きをする。
足のサイズが2方向に伸びることで(長さはおよそ1 サイズ分、幅は2 サイズ分)、アスリートの足が着地する時の衝撃も吸収する。アスリートが前方向に動くランニングをしている時も、多方向に動くトレーニングをしている時にも、多方向に屈曲するアウトソールは足の変形にも対応する。
このような柔軟な構造により、シューズではなく足が主導権を持って動きをコントロールする。そして何よりも良かった点は、このソリューションには新しい素材や機械を使うことなく、新しいアイディアのみが必要だったということ。
「NIKE」のエリートアスリートたちは、ジョギングや短めの距離のトラック練習に「FREE」を使っている。専門家によると、一般ランナーも短めの距離のランニングに「FREE」を使用することが進められるということ。
2019年、「NIKE FREE RUNNING COLLECTION」はルーツに立ち戻り、新しいデザインでこれまで以上に裸足のような感覚を実現している。